越後妻有の「オーストラリア・ハウス」でお待ちしています!

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日記

2009

キャス・マシューズ

8月24日

地域住民がトリエンナーレに関わるイベントの一つが車座おにぎりだ。これは各集落の住民が、地元の食材を使っておにぎりを作り、訪れる人をもてなすことによって、より地域のことを知ってもらうための機会である。昨日は豊田地区の方々がオーストラリア・ハウスで車座おにぎりを催した。四名の地元女性が朝から用意し、訪れた方々をおいしい梅干入りおにぎりとお漬物そして数時間の会話でおもてなしをした。

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豊田地区料理人の皆さま
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おにぎり作り
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おいしそうなおにぎり
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おにぎりを楽しむオーストラリアハウス訪問者

キャス・マシューズ

8月14日

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保坂さんとご家族

今日はこの家のオーナーである保坂さんが、東京から訪れた娘さん達を連れ、オーストラリア・ハウスに来て下さった。彼女達が幼い頃、この家にいる祖父母を訪ねていた何年も前の思い出が蘇ったようでした。おじいさまの所有していたものがまだ残され、アート作品の一部となっていたことも喜ばれていました。


上越日豪協会 内山 美代子

8月1日

オーストラリア・ハウスのアレックスの昼食会へ、当協会員とともに行ってきました。

外から見ると、なんとも古~い家(失礼!)でしたが、一歩中に入ると、3つの部屋に展示してあるart worksは素晴らしかったです。日本の文化を外から見た、mixcultural なartで、目からうろこでした。

まず、驚いたのはRichard の作品です。下から電気(火に見たててある)で照らし出された囲炉裏に向かって、白く塗られた材木の先ががまっすぐ上から20本近く集中しています。そしてその根元は家を突き出して、外にでています。白く塗られた材木は昔囲炉裏で調理した煙に見立ててあります。煙は立ち上り家の隙間から外へと出て行きます。そこに村人の暮らしがあるわけです。それをこの材木で表現してあるのです。その部屋の階段を上がると、そには割り箸に差した炭がたくさん並べられていて、何で調理が行われたかを示唆しています。この作品は見た目にも奇抜であっと、目を見張ります。

さて、作品は後2つあります。そのうちのひとり、Alexと、彼の若い頃の話や海外で生まれ、オーストラリアへ移り住んだ話などをする機会がありました。テレビでしか知られない世界の厳しい現実を目の当たりにして、Alexは私と同年代ですし、特に感慨ひとしおでした。

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アレックスの昼食会 地元の方々と
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アレックスの昼食会

ルーシー・ブリーチ

7月31日

オーストラリア・ハウスのオープニングまでの準備期間は想像を超えるものとなりました。「口述の繊維」という私の作品の設営に精力的に取り掛かりながらも、私は素晴らしい通訳である美代子さんと芳さん、そしてキャスの助けの甲斐あって、豊田地区の方々と対談を行うことが出来ました。

この対談は「よし対談」と呼ばれるようになりました。(「よし」とは目の前にある課題に取り掛かるぞという意志表明のこと。最近よく「よし」と口にしています!)対談ではそれぞれの方に、簡単な内容を質問しました。どういう仕事をされているのか、どうやって畑を耕しているのか、どのような食事を作り、召し上がっているのか。彼らの答えは情報の宝であり、そしてそこから垣間見られる彼らの誇りはとっても感動的です。この対談は編集され、作品のサウンドとして設置しました。

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子供たちと「よし対談」をするルーシー
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対談に応じる地区住民の方

作品はミクスト・メディアのインスタレーションです。地区の方々にご協力頂き、タスマニアカワノキの蜜ろうで制作した耳型は、部屋にある古い仏壇を覆うように飾りました。耳型は二つ一組にしまるで蝶々のごとく、「声」という漢字の形に並べられた豆電球の周りを飛び回っているかのように設置しました。虫が光に寄せ付けられるように、耳が声に引きつけられているのです。

耳の型どりを行った際の写真もまた、額にいれ、地区住民の方々のポートレートとして飾っています。

敷布団でできた偽の天井にははしごが突き抜けており、その上に座ると掛け布団でできた雲上の景色をみることができます。そこには高い窓より映し出された外の風景が鏡に反射されてもいます。

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山古志村の鯉を題材にしたインスタレー
ション
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耳型とそれに協力した地区住民の方
の写真
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雲上の景色へとつながるはしご

私は出来上がった自分の作品が大変気に入っており、満足しています。何度も素材とコンセプトを練り直し、漸くこの形にたどり着きました。何よりも、心が広く、好意に溢れている素晴らしい地域の方々と協働できたことを一番光栄に思っています。

現在は日本国内を巡り、今後の作品のためのリサーチをすると共に、オーストラリア・ハウスのオープニングに間に合うように来日した家族との時間を楽しんでいます。

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オーストラリア•ハウスが迎える初めてのお客様方

キャス・マシューズ

7月28日

新潟テレビの取材班がルーシーの作品についてインタービューを行うため、オーストラリア・ハウスを訪れた。またルーシーの作品に協力してくださった地域住民の方々も招かれ、どのように作品制作に携わったかを話した。円卓を囲んで、地域住民の方が最初は作品に戸惑いを感じていたこと、それが制作の過程を通じて、完全に払拭されたことを話してくれた。その様な話を皆さんから伺ういい機会となった。番組は8月16日に放送予定とのこと。

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キャス、ルーシーと地域住民の方々
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地域住民と話すルーシー
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インタービューを終えて

上越日豪協会 柴田美代子

7月25日

7月25日午後1時、十日町駅前からの大地の芸術祭のオープニング・バスツアーに参加しました。待合室も駅前も外国人の方が多く、聞こえてくる言語は英語、フランス語、ツアー途中ではたぶん広東語も。観光バスに豪州大使館員と関係者総勢約20人とともに乗り込みました。4、5人をのぞいて全員英日二ヶ国語に堪能でバスの中で英語を話す必要は一切ありませんでした。皆さんの見事な通訳に聞き惚れながら、いざ芸術鑑賞へ。

ツアーで見学できたのは東京23区より広い芸術祭会場のごく一部でしたが、大地の芸術祭の名の通り自然や地元の家屋と融合した作品群を楽しむことができました。大自然と芸術作品、一見意外な組み合わせですが妙にしっくりと溶け合っているという印象を持ちました。中には、芸術的とは程遠い私の感性を超える作品もありましたが、こればかりは致し方なし。

その後、オーストラリア・ハウスで地元の皆さんを交えての開所式がありました。12~13畳ほどのスペースにスシ詰め状態に人が立ち(もちろん冷房なし)、料理好きのアレックスを中心にハウスの豪州人アーティストたちが用意してくれたオードブルをつまみながら暫し談笑となりました。が、あまりの賑やかさに耳を30センチまで近づけて大声を出さなければ話が出来ませんでした。

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オープニングのバスツアー
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スシ詰めの開所式

ルーシー、リチャード、アレックス3人それぞれの作品もとても素晴らしく完成されていました。

オーストラリア・ハウスを入ってすぐの白い大きな木材を使ったアートがリチャードの作品です。元々その家にあった木材を利用したアートです。

開所式を行った中ほどの部屋がアレックスの展示室です。やはり元々その家にあった古い民具、食器、人形などを用いたアートです。

一番奥がルーシーの作品で、地元の人から取った耳の型、床には映像の仕掛け、天井にも穴ありという部屋です。

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リチャードの作品
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アレックスの作品
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ルーシーの作品

何人かのオーストラリア人は8月第1週まではオーストラリア・ハウスに滞在しているようです。皆様もアーティスト滞在中に是非一度オーストラリア・ハウスをお訪ねになってはいかがでしょうか。

リチャード・トーマス

7月22日

数日前、豊田地区の方々主催の集会とバーベキューにお招き頂いた。お酒を酌み交わしながら、たくさんのスピーチなどで、人と人との交流が深まった大変有意義な夜となった。上越日豪協会の皆様の素晴らしい通訳のおかげで、浦田地区の尊敬すべき長老たちに、オーストラリア・ハウスとなった家とその居住者たちの歴史を探ることが出来た。特に数名の80代の方々は様々な逸話を語ってくれた。

家はだいたい築150年ほどで、徳川時代の後期にまで遡り、現在に至るまで4世代が居住してきたそう。その中でも初期の居住者はお坊さんになるため京都へ出向いたらしい。その後の世代はそれぞれ、農家と大工と、正に日本社会を示す興味深い職業の持ち主だったようだ。現在の家主さんのお父様は息子さんが大工になる援助のために色々と犠牲を払ってきたという。それも、稲作農業の未来があまり明るくないと感じていたからだが、現在息子さんは東京で建設会社の社長をされているということなので、正しい判断をされたといえるかもしれません。家主さんと一緒にこの家で育った兄弟の方も現在は同じ会社で働いているようだ。

数名の年配の豊田地区住民の方から家の中で書物が見つかったかを尋ねられた。どうやら以前の住人は熟練された書道家であり、仏教学者であった模様。

近くの神社では、この家から地域に贈られたとされている三つの大切な石像があるということも教えてもらった。それは神道の神々を象徴しており、大変古く、元々は高い山の上から持ってこられたとのこと。

このように威厳があり、心が広く、そして聡明な方々と出会い、一緒に協力できることは大変名誉なことに感じる。この人々の大半はこの盆地や山々で人生を過ごし、厳しい経済状況や環境の中で勤勉に頑張ってこられた。そして我々を快く迎え入れてくださった。

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豊田地区での集会
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聡明な浦田地区の方々
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尊敬すべき浦田住民とリチャード


私のプロジェクトはほぼ完成しつつある。絶え間なく降り続く雨により絵の具が乾かなかったり、蒸し暑い屋根の梁に関する作業をぐらつく梯子に乗って行ったり、煤やほこりや汗まみれになるという厳しい環境の中で作品を設置した。

私はたくさんのありがたい支援をいただきながら、密度が濃く雰囲気のあるロフトのような本来は実用的な屋根裏で作品を作り上げている。あくまでもシンプルに、ただ意義のある方法で。この作品はまだ題名はないが、家の物質的な素材と古風な建築方法を調和させる介在を試みている。また家の直角な建築構造への対象性をも表している。

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制作をするリチャード

この作品はとても簡潔な制作方法を用いており、家の外に立てかけられていた細長い木材(冬の間は降り積もる雪の重さを軽減させるために使用されている)を使用。これらを、以前はこの住居のエネルギーの焦点となり、暖め、生命維持手段であった囲炉裏から、放射線上にベクトルのように外へ、上へとまるで「炸裂」するかように設置した。

木材は恐らくごく周辺から伐採されたものだろう。実にこの家は深緑の針葉樹林に囲まれているのだ。作品に取り付けたいくつかの柱は壁を通り抜け、まるで家を突き刺し、源である林へと戻るようでもある。従って、家の内と外とのつながりも感じられるのではないだろうか。

煤だらけの暗く炭素に満ちた空間との対照を示すかのように、柱を白く塗った。同時に、白い木柱はこの場においては、浮遊の無重量さ、精神、骨、死、雪、復活、超越などをも表現している。

木材設営アシスタントの亜弓さんと私はミニチュア版の「炭素の森」を、お箸の「茎」と家の中で発掘した炭(まだ人が住んでいた頃、暖や料理のため使用されていたと思われるもので、新潟の木からできている)を使って制作した。

この家、集落の人々、そしてこの地域の基本的な生態は、森、植物の成長そして木々の間で発生しているエネルギー交換や超物質性が中核となっている。この作品は家の空間、生態、物質的複雑性やその独自の雰囲気を主題として取り上げ、一時的な「住居の生態」を作ろうとしている。これは家の中の居住のみならず、家自体も森林の環境に存在していることも指している。もっと幅広い意味では、この作品は炭素の循環について、その偏在と重要性を含めて、長期的な対話と視覚化によって表現しているのだ。

上越日豪協会会長 近藤芳一

7月19日

上越教育大学院生7名と上越日豪協会員3名、計10名で浦田地区草取り・バーベキューに参加しました。バーベキューでは、築後100年以上というオーストラリア•ハウスの歴史を、リチャードさんが地区の長老に詳しく聞いていました。築後100年以上の家屋は地区の他にも何件かあるとのこと。すごい。地域の方々と豪州アーティスト、支援隊、取材クルーの橋渡しができたこと大変嬉しく思いました。

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浦田地区の草刈り
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上越日豪協会は橋渡し役

リチャード・トーマス

2009年7月16日

私のプロジェクトもいよいよ始まり、家の周囲から集めた物のみを使用する予定だ。オーストラリア・ハウスの内と外の生態をつなぐような空間的な介在を、家の周りにある長い木材でベクトルを創造することにより試みている。もともと木材は冬に豪雪が家に入り込むのを防ぐために使用されていたと思われるが、これらを床に組み込まれた囲炉裏の上に放射状に配置する。更に木材を白く塗り、空間との反転を表現した。それはその場自体の雰囲気、強く完璧な抽象性といった物語を、私の作品によって引き立て強調したいからだ。

アレックス・リツカーラ

2009年7月8日

先週末、最後の片付けを私達の素晴らしいボランティアの渡邊さんとフィロミーナさんの手を借り、行った。そして残りの物を、ありがたいことに、いつも私達を助けてくれる建築士の飯塚哲郎さんが運び去って下さった。今週の金曜日までにガスが通り、台所や家全体のリフォームが完成していることを願おう。ルーシーとキャスはオーストラリア・ハウスに引越し、家の周りに出没する虫や爬虫類に少しずつ慣れてきたようだ。ハウスの新たな住人として加わった蛇は、私達に日曜日に発見されてから、身を隠してしまった。オーストラリア・ハウスの実現のために、ご尽力頂いた皆様に感謝。

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最後の片付け
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渡邊さん、フィロミーナさんとルーシー

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ハウスの新しい住人
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飯塚さんのトラック
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リフォーム完了まであとわずか

ルーシー・ブリーチ

2009年6月25日

今日の午後オーストラリアから届いたばかりのシリコン製品を使い、二回目の耳の型どりを行った。この製品は以前の薬液と比べ、汚れず、早くそして一つの型どりで複数の耳型を作成することができる。前回の日記で書き忘れたが、住民の皆様への感謝の印として、アンザック・ビスケットを焼いて配った。甘くて、カリッとした仕上がりは評判が良い。今回の型どり作業を記録に残すために写真に収めていたが、思った以上に上出来なので作品の一部に使おうと思う...どんどん作品が進化していく!

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第二回、地区住民の耳の型どり
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型取られたシリコンの耳

ルーシー・ブリーチ

2009年6月23日

今晩、第一回となる地区住民の耳の型どりを行った! 参加者との信頼関係が必要不可欠だからこそ、作業を通して素晴らしい体験をすることができた。アートフロントギャラリーのスタッフである新井沙織さんが複雑な作業工程を見事に通訳してくださったので、本当に助かった。身振り手振りだけでは、やっぱり伝わりきらない!! 協力して下さった住民の皆さんは本当に善意であふれていて、私が歯科用の型どり薬液を耳に流し込んでいる間も、じっと畳の上で、横になってくれた。耳型を作成するために、タスマニアカワノキ(雨林での稀少植物)の蜜ろうをオーストラリアより持参した。

型どりは大成功に終わった。地区住民のそれぞれの耳型は記録に残してあるので、芸術祭が終了した際には、みんなにカワノキ蜜ろうで作られた「耳」を持ち帰ってもらおう。

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第一回、地区住民の耳の型どり
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ルーシー・ブリーチ

2009年6月18日

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今村創平さん(左)
飯塚哲郎さん(右)

リフォームを手がけてくださっている建築家の今村創平さんとお会いした。これからどのようにオーストラリア・ハウスをアレンジしていくかを色々と相談し、今村さんのアイデアもたくさん聞くことができてよかった。まだまだやるべきことはたくさんある!


ルーシー・ブリーチ

2009年6月17日

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世界一の鯉

今日は世界一の鯉を養殖していることで有名な山古志村を訪ねた。松田養鯉場でいくつかの飼育池を回り、写真に収めた。インスタレーションの一部に良いかもしれない。


ルーシー・ブリーチ

2009年6月16日

オーストラリア・ハウスはみるみる変身していく。今は水周りの台所やお風呂が大きくリフォームされ、新しいレンガ基盤や壁、床が建築中だ。また家の裏にある空き地は訪問者用の駐車場になる予定。恐らく6~8台の車を収容できるようになる。数日前まで大量の不用品があったとは思えない。

自分自身のインスタレーションのために建築士と大工の方と一緒に作業も始めた... 少しずつ自分のアイデアが形になっていくので、とてもわくわくする。建築会社の飯塚哲郎さんは素晴らしいコミュニケーション能力の持ち主で非常に助かっている。私のたどたどしい日本語でも、お二人は私が抱いているコンセプトを完璧に理解してくれている。

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新しい台所
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新しいお風呂
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新しい駐車場がみるみる登場

ルーシー・ブリーチ

2009年6月14日

今日豊田川公園に行き、地元の人と、草取り作業をした。梅雨が到来したので、皆雨具に包まれながら作業に集中した。これから皆さんにもオーストラリア・ハウスで色々と協力いただくので、今日はお手伝いができて良かった。とても有意義な時間となった。そして再来週からは、私の作品の一部となる皆さんの耳形の型どりが始まる。

ルーシー・ブリーチ

2009年6月13日

6月5日に越後湯沢に到着し、すぐにオーストラリア・ハウスへ足を運んだ。リフォーム前の家は生命力と色々な可能性で溢れていた。 そして今日リフォームが素晴らしいスピードで始まった! こんなにも変化を目の当たりにすることができるとは...。新しい床が入るだけで、狭く暗く感じていた部屋が明るく広々と感じられる。
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オーストラリア・ハウスのリフォーム開始
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