Welcome to the オーストラリア大使館のカルチャーセンター

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オーストラリアの文化助成機関

オーストラリア・カウンシル・フォー・ジ・アーツ 助成プログラム

オーストラリア・カウンシル・フォー・ジ・アーツ(以下「オーストラリア・カウンシル」)は、財政的支援や芸術関連産業の強化、育成を通じて、オーストラリアの芸術支援を行う豪州連邦政府の芸術振興機関で、環境・国家遺産・芸術省管轄の法令機関です。オーストラリアの芸術機関、及び個々のアーティストに対し、財政支援を行っています(2010年5月現在、年間1億5,800万豪ドル<126億4000万円>以上)。

目的

オーストラリア・カウンシルは、国民の芸術に関する理解が深まり、国民が芸術を享受し、芸術を通じて国民やコミュニティーの生活が豊かになることを目的とした連邦政府機関で、それは、オーストラリア特有の優れたアートの支援、すべての国民による享受、アートのインフラの整備を重要な指針として達成されることになっています。

これらの方針に基づき、様々な種類の芸術に対する政府による助成やイニシアチブ事業、慈善寄付に関する情報、出版や各種調査の報告発表、また文化イベントなどの最新ニュースが提供されています。

主要戦略

上記の目的を達成するため、主要戦略には以下の7つが挙げられています。

  • 多文化のオーストラリアを反映する芸術 (Arts in a multicultural Australia)
  • 創造性豊かな市民生活 (Creative communities)
  • 障害者と芸術 (Disability and the arts)
  • 教育と芸術 (Education and the arts)
  • アボリジニ及びトレス海峡諸島民の芸術政策 (National Aboriginal and Torres Strait Islander art policy)
  • 地方の芸術 (Regional arts)
  • 若者と芸術 (Young people and the arts)
  • 和解への活動計画 (Reconciliation action plan)

組織

会長、副会長、執行代表役員(Chief Executive Officer)の下、それぞれの委員長が率いる下記の7つの理事会と2つの委員会から構成されています。執行代表役員はオーストラリア・カウンシルの運営全般の責任者であり、会長と共に、政府の芸術政策や予算について、芸術担当大臣との連携の任にあたります。

  • アボリジニ及びトレス海峡諸島民芸術理事会 (Aboriginal and Torres Strait Islander arts board)
  • コミュニティー・パートナーシップ委員会 (Community partnerships committee)
  • 舞踊理事会 (Dance Board)
  • インター・アーツ事務局 (Inter-arts office)
  • 文学理事会 (Literature Board)
  • パフォーミング・アーツ理事会 (Major Performing Arts Board)
  • ミュージック理事会 (Music Board)
  • 演劇理事会 (Theatre Board)
  • ビジュアル・アーツ理事会 (Visual Arts Board)

助成

オーストラリア・カウンシルの基幹事業である財政支援「助成プログラム」の公募が、ほぼ年間を通じて行われています。2008-2009年度(2008年7月から2009年6月)の年次報告書に記載されている統計は以下のとおりです。

  • 芸術機関や個々のアーティストに総計1億7530万豪ドルを助成
  • 助成、及び実施プロジェクト件数は1,846件
  • 助成により制作された作品は5,526件
  • 助成により公開された作品は5,414件
  • 助成によるイベントへの参加者は1,300万人

1. 助成プログラムの情報を入手するには?

助成に関する情報は、オーストラリア・カウンシルのホームページ上で、詳細に紹介されています。助成プログラムは分野ごと、期間ごとにデータベース化され、申請者は適切な助成金を容易に探すことが可能です。また、オンライン・アプリケーション(電子申請)では、誰でも簡単に入力できるように工夫されています。

申請後の手続きも審査方法、結果の通達時期やその方法について、また承認されなかった場合には、次回申請へ向けてのフィードバック入手方法から、再審査要請の方法まで詳細な情報が提供されています。

これまでに助成金を獲得した団体やアーティストはホームページ上にそのリストが掲載されています。申請者に役立つよう、これまでどんなプロジェクトが助成金を得たのか、そのプロジェクト内容が画像付きでわかりやすく掲載されています。(2010年5月現在、84件のプロジェクト例、及び198の受賞団体が紹介されています。)また助成金申請の体験談やアドバイスも、豊富に紹介されています。例えば受賞者へのインタビューがケーススタディーとして紹介され、そのビデオをホームページ上で閲覧することが可能です。

オーストラリア・カウンシル 助成ガイド2010年度版をダウンロード (英語)

2. 対象となる分野は?

オーストラリア・カウンシルが運営する助成制度は、それぞれの部門から58種類の助成カテゴリーと、40種類のイニシアチブ助成におよびます(2010年現在)。

主要部門は、その対象内容により以下の通り分けられています。

  • アボリジニ及びトレス海峡諸島民芸術部門 (Aboriginal and Torres Strait Islander Arts)
    先住民による芸術活動を様々な形で支援する助成。
  • キャリア育成支援助成 (ArtStart)
    アーティストや作家としての今後のキャリア育成を支援するための、新卒者を対象とした助成。
  • コミュニティー・パートナーシップ助成部門(Community Partnerships)
    地方や若年者、障害を持つ方々などを初め、アートを通じた市民活動とその発展を支援する助成。
  • ダンス助成部門 (Dance)
    公演や制作、リサーチも含め、アーティスト及び団体を対象とする舞踊部門の助成。
  • インターアート助成部門(Inter-Arts)
    多分野にまたがるハイブリッドなアートを中心に支援を行う助成。この部門の助成を検討する際には、まずオーストラリア・カウンシルとプロジェクトの内容について協議することが必要。
  • 文学助成部門 (Literature)
    若手作家の育成、出版部門の活性化など、オーストラリア文学の発展を支援するための助成。
  • 音楽助成部門 (Music)
    国内外の公演やツアー、人材育成などを初め、オーストラリア音楽界の発展に寄与するアーティスト及び団体への助成。
  • 演劇助成部門 (Theatre)
    国内外の公演やツアー、演劇関係者の育成、マーケットや集客の拡大など、オーストラリア演劇の発展を支援する助成。
  • ビジュアル・アート助成部門 (Visual Arts)
    国内外の展覧会への出品、マーケットや集客の拡大、若手アーティストやキュレーターの育成など、ビジュアル・アートを対象とする助成。
  • 海外マーケット部門 (International Markets)
    国内で開催される主要な国際芸術祭への支援、また海外で行われる大規模な芸術祭のオーストラリア人アーティストの参加への支援など、国内外でオーストラリアのアートの優位性の形成を支援する助成。
  • 国内マーケット部門(Australian Marketplace)
    国内におけるアート・マーケットの拡大、促進を支援する助成。
  • 芸術機関助成部門 (Arts Organisations)
    オーストラリアの主要な28のパフォーミング・アーツ・カンパニー、及び140の主要芸術機関を支援する助成。
  • 社会貢献部門 (Philanthropy)
    芸術を通じた社会貢献・慈善活動を行うアーティスト、及び団体を支援する助成。

イニシアチブ助成とは、芸術産業、特にオーストラリアの芸術・文化への観客数増員に重点を置いた助成です。したがってオーストラリア舞台芸術見本市(Australian Performing Arts Market)や、ベネチア・ビエンナーレ(Venice Biennale) など、国内外の主要なプロジェクトが含まれます。この目的に沿って、デジタル・コンテンツの充実、アーティストのキャリア育成、アーティストや芸術機関の増収を図る慈善プロジェクトなど、オーストラリア・カウンシルが認めたものが対象となります。

3. 対象となる団体・アーティストとは?

オーストラリア・カウンシルの助成は基本的には、オーストラリアのアーティストとアート関連機関がその対象となり与えられるものです。ただし、日本を含む海外の芸術・文化機関が、オーストラリアのアーティストの招聘や、作品制作・展示のために申請できる助成もあります。

オーストラリアのアーティストが日本を含む海外の事業に参加するため、アーティスト自身、またはオーストラリアの芸術機関が申請する助成

日本で行われる芸術祭や展覧会への出品・参加、公演への出演などに対する助成のほか、アーティストが海外でレジデンシーを行うための助成、また文学助成部門では産業促進の一環として、オーストラリアの出版社や出版エージェントが、オーストラリアの書籍や作家をプロモートするための旅費助成や、ビジュアル・アート助成部門には、フリーのキュレーターが、海外のプロジェクトに参加する機会を与えるための助成などもあります。

オーストラリア・カウンシルの助成によりオーストラリアのアーティストが参加した最近の日本国内のイベントには、以下のものがあります。

オーストラリアン・ジャズ・ウェーブ2010」 (2010年9月)
オーストラリア・ジュエリー展」 (2010年3月)

また、オーストラリア・カウンシルは、オーストラリアのヴィジュアル・アーティストに対し、プロとして成長する経験の機会を与え、質の高い芸術の振興を目指す場として、海外でのスタジオを運営しています。東京にもスタジオがあり、プログラム開始以来、80名以上のオーストラリアのアーティストが3か月のレジデンシーを行ってきました。このプログラムはアーティストにとって非常に有益であり、彼らは将来のプロジェクトに繋がる貴重なネットワークを構築しています。

日本の芸術・文化機関が申請可能な助成例

日本の芸術・文化機関がオーストラリアのビジュアル・アートの作家を招聘し紹介する際、ビジュアル・アート助成部門の "Significant International Opportunities" や "Presentation and Promotion"のプログラムに申請ができます。これは法人格を持った芸術機関が申請者となることが必要です。

Significant International Opportunities

本プログラムは、オーストラリアのコンテンポラリー・ビジュアル・アートを、国外の観客に向けプロモートする事業に対し行われている助成で、オーストラリアまたは国外の法人格を持った芸術機関が申請することができ、その要件は非常に重要な国際的な事業であること、企画内容が意義深いものであること、適切な広報、動員戦略を有することです。申請にあたってはまず、事業が要件を満たしていること、一般のPresentation and Promotion部門へ申請できなかった理由、どれほど文化的に重要な機会か、アーティストの招聘が決定していることなどについての認定を受けることが必要です。これが受けられると、正式な申請書を提出することができます。その主な審査基準は以下のとおりです。

  • 優秀なアーティストやスタッフが参加する事業であること。
  • 事業が綿密に計画され、オーストラリアのアーティストにとり、観客数を広げ、学術的な議論をひきおこすものであること。
 

更に参考資料(招聘合意を示す文書、アーティストの略歴書や、過去の作品の画像など)を添付する必要があります。このプログラムへはオンライン申請ができます。

Presentation and Promotion

本プログラムは、オーストラリアの現代工芸、デザイン、メディア・アート、ビジュアル・アートをオーストラリア国内外に紹介する事業について申請することができます。2010年度の公募は1回、締切りは8月16日でした。展覧会や出版物、またシンポジウムなどの公的な成果を伴う事業でなければなりません。また申請方法や審査基準は、ほぼ"Significant International Opportunities"と同様です。申請書と一緒に、招聘アーティストの作品を紹介するものを、指定された方式で添付します。主な審査基準も"Significant International Opportunities"と同様です。

日本の芸術・文化機関が申請したオーストラリア・カウンシルからの助成で、オーストラリアのアーティストが参加した最近のプロジェクトには、以下のものがあります。

医学と芸術展」 (2009年11月から2010年2月)
瀬戸内国際芸術祭」 (2010年7月から10月)

ホームページ上には、それぞれのプログラムについての連絡先が掲載されていますので、ご不明な点は、申請前に確認されることをお勧めします。いずれの場合も、申請手続きには十分な事前準備が必要ですので、十分な時間の余裕を持ってご準備ください。申請期間は助成プログラムにより異なりますので、オーストラリア・カウンシルのホームページを確認して下さい。

4. 審査

申請後、申請受理が通知され、結果通達の時期も提示されます。各プログラムの審査基準に沿って、知識、経験を有する代表で構成される委員会により申請の可否が決定されます。

5. 申請対象となる費用

対象となる主な費用は、一般的に往復航空券、宿泊費、交通費、作品の制作費やアーティスト・フィーなどです。不動産や機材の購入、オーストラリアと直接関連性の低いもの等は対象となりません。事前にオーストラリア・カウンシルへご確認されることをお勧めします。

その他のオーストラリアの助成機関

オーストラリアには、オーストラリア・カウンシルのほか、以下のような助成制度がありますので、こちらもご検討されることを併せてお勧めします。

  • 各州ごとの州政府芸術振興機関
    • Arts ACT / アーツ・ACT
      オーストラリア首都特別地域(ACT)政府内の文化芸術部により管轄され、芸術の発展と、地域による文化活動への参画を担っています。ACTに拠点を置くアーティストや団体への助成も行っています。
    • Arts NSW / アーツ・NSW(ニュー・サウス・ウエールズ)
      ニュー・サウス・ウェールズ州内における文化芸術施策・助成を行う州政府機関です。文化遺産を継承しつつ、将来に繋がる文化的環境を支援していきます。
    • Arts NT / アーツ・NT
      北部準州(NT)政府の文化芸術機関です。
    • Arts Queensland / アーツ・クイーンズランド
      クイーンズランド州政府機関として、地域の特色を活かしながら他との協働も積極的に取り入れ、文化芸術の発展・向上を図っています。クイーンズランド州に拠点を置くアーティストや団体への助成(日本など海外への招聘を含む)も行っています。
    • Arts South Australia / アーツ・南オーストラリア
      南オーストラリア州政府の文化芸術機関です。南オーストラリア州に拠点を置くアーティストや団体への助成(日本など海外への招聘を含む)も行っています。
    • Arts Tasmania / アーツ・タスマニア
      タスマニア州政府の文化芸術機関です。タスマニア州に拠点を置くアーティストや団体への助成(日本など海外への招聘を含む)も行っています。
    • Arts Victoria / アーツ・ビクトリア
      ビクトリア州政府の文化施策を推進する組織で、州内のアーティストや文化芸術産業の発展、また住民にとってよりアクセスしやすい文化芸術の拡充を図っています。ビクトリア州に拠点を置くアーティストや団体の助成を行っており、日本からの招聘にも、過去に何度も資金提供しています。
    • Arts WA / アーツ・WA
      西オーストラリア州(WA)政府の文化芸術機関です。西オーストラリア州に拠点を置くアーティストや団体への助成(日本など海外への招聘を含む)も行っています。
  • 日豪両国の交流を促進する、オーストラリア外務貿易省内の機関 豪日交流基金 (The Australia Japan Foundation)
  • 芸術・文化を通じてオーストラリアの発展を図るオーストラリア国際文化実行委員会 (Australia International Cultural Council オーストラリア外務貿易省内)

※ 上記は2010年9月時点の情報です。申請される際には、最新の情報をご確認ください。尚、日本の芸術をオーストラリアに紹介する場合は、まず文化庁や国際交流基金などの助成をご検討下さい。