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「バレエで綴る感情のジャーニーを日本の観客と共にしたい」

オーストラリア・バレエ団、来日公演直前インタビュー

2010年9月

この秋のカルチャー・シーンでオーストラリア・バレエ団が大きな注目を集めている。

同バレエ団は10月に東京と名古屋で7日間にわたる公演が予定されているが、もっか東京やニューヨークで好評上映中の映画「小さな村の小さなダンサー」で優美なバレエ・シーンを披露しているのもオーストラリア・バレエ団なのだ。

世界のステージで、シネマ・スクリーンで文字通り飛躍するオーストラリア・バレエ団。日本公演に先立ちその準備のために来日したプリンシパルのマドレーヌ・イーストーとアダム・ブルが興味深い舞台裏のストーリーを語ってくれた。

日本公演の「白鳥の湖」はダイアナ元妃の物語!

今回の日本公演でふたりが出演するのは「白鳥の湖」。音楽はおなじみのチャイコフスキーだが、演じられるドラマと振り付けはオリジナル。英国のダイアナ元妃の悲劇を題材に恋のトライアングル(三角関係)を感情豊かに描く、天才振り付け師グレアム・マーフィー版の「白鳥の湖」だ。

2007年の日本公演でも絶賛を浴び、今回の再演が実現したもので、イーストーは婚礼の夜に夫の不倫を知り苦悩する若妻を演じ、ブルは無垢な妻と情熱的な男爵夫人の間で心迷わせるジークフリート王子を演じる。

Ballet Interview
アダム・ブル

「実在の人物をモデルにしたリアルな2時間半のヒューマン・ドラマ。感情もどっぷり入れ込むから、演じ終わったときには、もうこれ以上は動けないと思うほど心身共々に消耗してしまいます」と、ブル。

イーストーは「ユニークでドラマチックな悲劇をステージで演じられるのはアーティストとしてやりがいがあること。幸いなことに誰も実生活では恋の三角関係は体験したことがないので、どのシーンではどう感じているべきなのかリハーサルで工夫しました。たとえステップは原作と同じでも表現される感情が異なるのです」。

クライマックスは、ラストシーン。最初から最後まで目が離せない作品だ。


マドレーヌ・イーストーはいま上映中の映画でもプリンシパルを熱演

Ballet Interview
マドレーヌ・イーストー

イーストーは中国から米国へ亡命したリー・ツンシンの自伝的映画「小さな村の小さなダンサー」で、主人公が入団したテキサスのバレエ団のプリンシパルという大役に抜擢され、女優としても華麗なデビューを果たした。

同映画のバレエ・シーンの振り付けはグレアム・マーフィーだが、言葉のアクセントも振る舞いも異なるアメリカのバレエ団員を演じるにはそれなりの苦労もあった。

舞台では適切な動きや仕草もスクリーンではドラマチック過ぎ、大げさに映る、といった違いにも気づいたというイーストーは、「完成された映画を見たら、私の英語にオーストラリアのアクセントが出ていた、という悪夢までみました」、と笑う。

同映画では仲間うちでの競争意識のバレエ団の世界も描かれているが、ふたりによればオーストラリア・バレエ団は、他国のバレエ団と比べ家族意識が強く、特出したスターではなくバレエ団全体の魅力で世界での評価を高めてきた。

バレエ団の歴史も彷彿させる、マーフィー版「くるみ割り人形」

さて、10月の日本公演のもうひとつの演目は「くるみ割り人形」だが、これも副題に「クララの物語」とつくマーフィー版のオリジナル。ブルによれば、「ロシアから来たバレリーナ、クララの物語は、ロシアから来たバレリーナがオーストラリアで結成したオーストラリア・バレエ団の歴史にも重なるところが多いのです。オーストラリア・バレエ団を理解していただける絶好の作品です」。

「バレエの正統を受け継ぎながら新たな伝統を生み出し続ける」をモットーとする同バレエ団はこの秋、本国では正統派の「くるみ割人形」を上演しつつ、日本では本国や外国で評判を呼んだマーフィー版の「くるみ割人形」を上演する。そのため、昼には日本向けのリハーサルを行い、夜には同じ音楽に合わせて振り付けが全く異なる公演を行うという離れ業に挑戦中だ。

バレエの楽しみ方を知る日本での公演をみんな楽しみにしています

今回の来日はたった2日間の滞在だが、団員みんなにうらやましがられた、というふたりは2007年の日本公演にも出演、観客にとても良い印象を得た。スポーツ好きのオーストラリア人はバレエもアスレチックな側面から見がちだが、日本ではバレエがアートとして尊重されているのが感じられるという。

「日本の観客はバレエ観賞という体験をとても尊重してくれます。観賞の仕方もとても真剣で、演じている間中、観客席はしーんと静かですが、終わった瞬間の反応で、観客が最初から最後まで私たちと感情のジャーニーを共にしてくれていたことが分かります」、とイーストーは語る。

ブルは「日本ではファンが舞台裏にまで訪ねてくれ、まるでロックスターになった気分。なんといってもオーストラリアは遠いので、海外遠征はたいへんなのですが、団員はみんな日本に来ることをとても楽しみにしています」。

オーストラリア・バレエ団の10月の日本公演の詳細はこちら
映画「小さな村の小さなダンサー」の詳細はこちら


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