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2.地方分権の国
  オーストラリアの現代史は、シドニーにヨーロッパ人が入植した1788年に始まります。入植当初のオーストラリアでは、各州それぞれが大英帝国の植民地で、アボリジニ以外の人口は、新しい植民地を建設するために必要な労働力としてイギリスから送られてきた囚人が中心でした。囚人以外には、地主、農夫、探鉱者、生活必需品を売る商人などがおり、これらの人々が現代オーストラリア経済の土台を築きました。
連邦制化への指導者バートンが初代首相となった
連邦制化への指導者バートンが初代首相となった / © The National Library of Australia
 
  経済的な発展にともない、19世紀の中頃から各植民地では自治が認められ、19世紀末には6つの自治植民地(ニュー・サウス・ウェールズ、タスマニア、南オーストラリア、ビクトリア、クィーンズランド、及び西オーストラリアで、それぞれが後に州となりました。)が独立して存在していました。しかし、20世紀を前にして、各植民地間の関税解消による活発な経済活動を求める一方、オーストラリア全土で統一された行政(特に、防衛、運輸、通信など)を行うことによる効率性を考慮して、連邦化への動きが大きくなりました。
 
  1901年、オーストラリア連邦が成立し、以来、オーストラリアの政府は連邦と州と地方自治体の3層構造になっています。様々な権限が各3段階の政府に配分されました。連邦政府と州政府の関係においては、国(連邦)が始めに存在していてそれを分割して州が形成されたのではなく、州政府の前身としてもともと存在していた植民地政府が合同して連邦を作り上げたというのが特徴的です。
 
  したがって、州政府がそれまでに植民地政府として持っていた権限を出来る限り維持するという了解のもと、オーストラリアの連邦国家の憲法は成立したのです。つまり、連邦政府と州政府の関係は、日本の「国」と「都道府県」の間のような上下関係というよりも、どちらかと言えば水平な関係にあるといってよいでしょう。少なくとも、連邦政府(=中央)と州(=地方)との関係では、日本よりもはるかに地方分権の進んだ国と言えそうです。
 
  ただし、実際には、財政上、連邦政府が優位な立場にあります。徴税はほとんどが連邦政府によるもので、その税金が連邦政府から交付金として州や地方自治体に割り当てられるという構造になっているのです。特に、最近では使い道を特定した交付金の割合が高まりつつあり、もともと州の権限であった分野(たとえば、教育や福祉、運輸)などにも、徐々に連邦政府の干渉が及ぶようになってきているとの見方もあります。
 
  更に、グローバル化が進み、様々な外交関係(国際条約や協定など)により、従来は州政府の権限とされていた分野(環境や人権問題など)にも連邦政府が介入してくるケースが増えてきています。しかし、こういった国際条約や協定を結ぶ場合でも、連邦政府が州政府に対する通知をあらかじめ行い、連邦政府と州政府がともに参加する委員会を設けてコミュニケーションをはかり、必要に応じて条約や協定締結交渉に州の代表も参加させることになっています。このような配慮にも、地方分権を尊重する姿勢が強く現れているといえるでしょう。
 
  一方、第3の層に位置する地方自治体は州憲法により規定されていて、州政府と地方自治体の関係については、比較的上下関係が強いと言えます。これは、地方自治体が州政府の主導のもとに「創造」されたものと考えられているからです。したがって、道路整備、ごみ処理、地方税徴収などに従来の地方自治体の主な権限は限られていました。しかし、最近はその行政サービスの範囲が拡大する傾向があり、地方自治体は図書館や博物館などの文化施設やスポーツやレクリエーション施設の運営のほか、養護施設や老人ホームなどの運営を始め、様々なコミュニティー・サービスを行っています。
 
  このように、それぞれの層の政府で権限が重なる部分も多く、またそれぞれの政策が影響を及ぼし合うので、有意義な地方分権を維持する上では各政府間の調整が必要となります。特に、連邦憲法に規定された連邦政府と州政府の平等性を現実のものとするために、それぞれの代表者が対等の立場で協議する仕組みが作られています。例えば、オーストラリア政府間評議会(Council of Australian Governments)では、連邦首相、州首相、主席大臣ととも自治体協議会会長が出席し、国内行政の重要問題に関して議論します。これ以外にも、権限の重なる各分野については、様々な閣僚会議や評議会が開かれ、関連する連邦、州、地方自治体のそれぞれの層からの代表者によって政策が調整されています。
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