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2.先住民アボリジニ
  オーストラリアの先住民はアボリジ二民族とトレス海峡(オーストラリア最北端のケープ岬とパプアニューギニアの間)にある島の民族で、この大陸には少なくとも4万年以上も前から住んでいます。ヨーロッパ人が渡来するまでは、アボリジ二は、それぞれ異なった言語、信仰、習俗から成る複雑な文化の中で、精妙な自然界と調和して生きていました。
アボリジニの男性と子供
ヨーク岬にて、アボリジニの男性と子供 / © Australian Tourist Commisstion
ヨーロッパ人の入植は彼らの生活に大きな衝撃を与えましたが、それでもアボリジ二の文化は生きながらえ、今でもとくに内陸の遠隔地にあるコミュニティで見ることができます。
 
  ヨーロッパ人入植以前の先住民の人口は、はっきりとした数字が残っていませんが、1788年(最初のイギリス人人植時)には推定で75万人から100万人ほどとされています。しかし、この人口も入植者のもたらした疫病、強圧的かつ残忍な仕打ち、土地の強奪、コミュニティの崩壊などによって激減し、20世紀になっても低下は続きました。
 
  1980年頃から先住民の問題において、オーストラリア社会の姿勢の変化、政治的対応の進歩、さらには先住民認定範囲の拡大などによって、先住民が自らをアボリジニまたはトレス海峡諸島民と認識する数が増加しました。2001年の国勢調査では約46万人が、自分はアボリジニまたはトレス海峡諸島民であると答えています。
アボリジニの写真
先住民との和解を唱えてハーバーブリッジを渡る行進(2000年5月28日)
© Australia and Torres Straight Islander Commission(ATSIC)
 
先住民族総人口
※出典:オーストラリア連邦統計局資料「オーストラリア2003年年鑑/115頁」、AGPS, Canberra
 
先住民族総人口
※出典:オーストラリア連邦統計局資料「オーストラリア2003年年鑑/115頁」、AGPS, Canberra
 
先住民の推定人口と先住民総人口に占める地域別割合(1991年及び2001年)
  1991年(a) 2001年(b)
州/特別地域 単位:人 単位:% 単位:人 単位:%
ニューサウスウェールズ 75,020 26.5 135,319 29.4
ビクトリア 17,890 6.3 27,928 6.1
クィーンズランド 74,214 26.2 126,035 27.4
南オーストラリア 17,239 6.1 25,620 5.6
西オーストラリア 44,082 15.6 66,069 14.4
タスマニア 9,461 3.3 17,442 3.8
北部特別地域 43,273 15.3 57,550 12.5
首都特別地域 1,616 0.6 3,941 0.9
全国 282,979 100.0 460,140 100.0
(a)1991年の人口と住宅に関する国勢調査を元に推定
(b)2001年の人口と住宅に関する国勢調査を元に推定
※出典:オーストラリア連邦統計局資料「オーストラリア2003年年鑑/115頁」、AGPS, Canberra
 
土地をめぐる衝突
  ヨーロッパからの入植者はアボリジニの多くの土地を奪い、先住民は必死の抵抗もむなしく他の地域へ追いやられて行いました。その後も土地の所有権をめぐる論争や争いが繰り返され、それは今日に至るまで続いています。オーストラリアの先住民であるアボリジニは、イギリス人入植からほぼ200年の間、各種の権利を制限されていました。先住民は1962年まではオーストラリアのすべての州で選挙権を認められていたわけではなく、また1967年の国民投票の連邦憲法改正ではじめて国勢調査に先住民をふくむことが決まり、ようやくオーストラリア国民として認められるようになりました。連邦政府が先住民側の土地所有権を認めたのは、1976年北部準州の「アボリジニ土地権利(NT)法」の制定がはじめてでした。
 
アボリジニ政策
  現在、アボリジニがオーストラリアについてどのように考えているかは、様々な見解があるため、これを一般化して述べることはできません。オーストラリア社会が現在、アボリジニの権利を広め、必要な社会的、経済的補助などを行っていることについて、これを支持しているアボリジニがいる一方、現代オーストラリアの政府や社会構造を強く批判し、イギリス人入植以来の過去200年間、自分たちの土地が侵略され続けていると考えている人もいます。しかし、アボリジニには、自分たちの見解を明らかにし、将来を決定するにあたって、より大きな役割を果たすことができるようにするための正式な制度が今では設けられています。
 
  オーストラリア政府は1990年、国の先住民を代表するアボリジニ・トレス海峡諸島人コミッション(ATSIC)と呼ばれる特別な組織を作りました。オーストラリアには全国で35のアボリジニ地方評議会というものがあり、アボリジニはこの評議会の議員を選びますが、ATSICはこの35の地方評議会が選んだ17人の委員と、連邦政府が指名する委員2人によって構成されています。この組織の権限と予算は連邦が決定します。
 
  ATSICの19人の委員は全員、純粋なアボリジニあるいは一部アボリジニの血をひいている人です。年間予算約9億ドルを使って、アボリジニが必要とする様々な社会政策を実施しています。この総予算の9億ドルのうちアボリジニ地方評議会が使う予算は5億ドルで、これは各地元地域レベルでの政策実施に使われています。ATSICとアボリジニ地方評議会は、保健、住宅、司法、文化、投資などアボリジニの生活のあらゆる面にわたるプログラムを運営管理しています。
 
  ATSICはアボリジニによるアボリジニの政府であり、議会であると同時に、政府が法で定めた法定組織でもあります。先住民のための各種プログラムの実施と管理を先住民自身にまかせるこのような組織は、他の国には例がありません。
 1. 人種民族の構成
 2. 先住民アボリジニ
 3. イギリス植民地設立
 4. 移民社会の歴史
 5. 白豪主義を乗越えて
 6. 多民族・多文化国家
 7. 市民権
 8. 多民族・多文化に即した行政上の対応
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