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環境保護
  オーストラリアには約10万種の昆虫、2万種の花の咲く植物、2千種の脊椎動物(せきついどうぶつ)がいると考えられています。このオーストラリアの多様な生態系を維持することは、土壌と水の質を保ち、また動植物の将来を確保する上で、必要不可欠です。土着の草木の中には人間にとって医学的価値がある物質を含んでいる可能性のあるものもたくさんあります。

  また、動物の中にも人間にとって有益なものがあり、例えば、大切な農作物を破壊する動物や害虫の数を押さえる役割を果たしている動物もいます。科学者は植物と動物がどのような方法で相互に影響を与えあい、これが人間にどのような恩恵をもたらすのかについて、現在も研究を続けています。
低木を植えて海岸線を守る活動/ ©Environment Australia(写真:Landcare Australia)
従って、できるだけ多くの動植物を保存することは自然環境の維持のためだけでなく、将来の人間のためでもあるのです。つまり、オーストラリアの自然は太古の昔から受け継がれてきたこの国の財産であり、保護と慎重な管理が必要です。しかし200年程前ヨーロッパから入植した人々にはこのような認識が欠けていました。ヨーロッパの農業や畜産の方法は、オーストラリアの土壌構造に適合できないものです。不適当な潅漑(かんがい)によって土壌塩分濃度の上昇が引き起こされ、農作物や本来の植生に重大な被害を与えた地域もあります。
 
また誤った土地利用も地域に有害な影響をおよぼし、深刻な土壌腐食の引き金となりました。一方、外来種の草や動植物の乱繁殖は、自生の生物を取り巻く環境に多大な被害をもたらしました。
 
  海外から持ち込まれた有害生物には以下の様なものが挙げられます。
   ■競技用に移入されたウサギ及びキツネ
   ■サトウキビを食害する甲虫の駆除用に移入されたヒキガエル
   ■入植者のホームシックから持ち込まれたスズメ及びムクドリ
   ■ラクダ、ヤギ、ウマ等の家畜で逃げ出して野生化したもの
 
  このうち最も大きな被害をもたらした移入動物はウサギです。最初の入植時に何羽か持ち込まれてはいましたが、大問題の始まりとなったのは1859年にジロング(ビクトリア州)近くの農場で放された24羽の野ウサギでした。ウサギは増殖し、9年後には1万4000羽以上が同農場で撃ち殺されました。その後も繁殖・分散を続け、最も繁殖した時期はオーストラリア全土で個体数が8億を超えていたと推定されており、この国の環境がこうむった損害は計り知れないものがあります。時々流行する伝染病によって個体数に減少が見られることがあるものの、たちまち回復し、同じ問題が繰り返されています。
 
  海外から持ち込まれ環境に損害を与えた植物には以下の様なものが挙げられます。
   ■観賞植物として移入されたと考えられるゴムの木
   ■セイヨウヤブイチゴ(ブラックベリー)
   ■オプンチア(サボテンの一種)
   ■オオヒレアザミ
   ■ミモザ(マメ科ネムリグサ属の植物)
   ■・ 本来は熱帯地域の牧草用に移入されていたパラグラス
 
絶滅・若しくはその危機にひんした動植物
  ヨーロッパからの入植が開始されてから今までに、およそ20種の鳥や哺乳動物が絶滅したと考えられています。現在300種を超える植物、鳥、哺乳(ほにゅう)動物、爬虫類(はちゅうるい)、カエル、魚などが絶滅の危機にひんしていると見なされていますが、その原因のひとつは外来種の動植物によって引き起こされた環境破壊です。
タスマニアンタイガー
絶滅したタスマニアンタイガー / © Tourism Tasmania
 
オーストラリアの絶滅動物 目視による生存確認最終年度
Thylacine(フクロオオカミ/タスマニアンタイガー) 1936年
Lesser bilby(ミミナガバンディクートの一種) 1931年
Toolache wallaby(ワラビーの一種) 1924年
Paradise parrot(フウチョウの一種) 1927年
Eastern hare wallaby(ウサギワラビーの一種) 1891年
Broad-faced potoroo(ネズミカンガルーの一種) 1875年
Pig-faced bandicoot(バンディクートの一種) 1907年
Dwarf emu(エミューの小型種) 1840年代
 
環境問題へ向けられる国民の意識
  オーストラリア大陸の生態系は非常に多様で、その植物体系は、多数のオーストラリア原産の植物からなっています。近年、この多様な自然環境を保護する必要があるという意識が国民の間で高まってきています。人々が自然を楽しみレジャーに訪れる国立公園では農業や土地開発は行なわれず、そこにある野生林や海岸線の自然環境が守られています。
カカドゥ
カカドゥ国立公園/© Australian Tourist Commission
また、多数の環境保護プログラムを通じて、地域社会の環境問題に関する住民の意識を高め、積極的に環境を保護する姿勢を養おうという努力がなされています。
 
  「セイブ・ザ・ブッシュ」というプログラムでは、オーストラリアの多様な生態系を維持するための地域活動を促進し、その資金援助を行なっています。またこのプログラムの中には、10億本植林計画があり、都市部や農村部の地域社会レベルでの植林プログラムを促進して、2000年までに10億本の木を植えることをめざしました。
 
グレートバリアリーフ
グレートバリアリーフ
© Great Barrier Reef Marine Park Authority
  水質の保全もまた重要な課題で、これには、魚や海洋植物を汚染から守るための海の水質の保全という面と、人間が使う水の質をきれいに保つという面があります。オーシャン・レ.スキュー2000(Ocean Rescue 2000)と呼ばれるプログラムは、オーストラリア全国に広がる10年間プログラムで、オーストラリアの海洋環境が、持続可能な範囲で正しく使用されるようにすることを目標に、様々な調査研究を行ない、また研究活動のための資金援助を行いました。「オーシャン・レスキュー」の活動の焦点は、グレートバリアリーフなどのオーストラリアの壮観な海洋地域や海岸沿いの自然保護区の管理運営をよりよいものとするために努力することと、環境を汚染する産業廃棄物の河川や海への流出を規制し、最終的にはこの流出をなくすために活動することです。
 
  また、地域社会のレベルでは、家庭や庭で有毒性の低い化学薬品を使用するように指導したり、ゴミの減量化や正しい処理についての住民の意識を高める活動をしています。排水路を通って最終的に海に流された有毒な化学薬品やプラスチックや紙の袋が原因で大切な海洋生物が命を奪われることがあるのです。
 
  10代の少年少女達もこういった活動に積極的に参加しています。それらのいくつかを以下に挙げます。
   ■世界遺産登録機関
   ■オーストラリア遺産保護委員会
   ■ナショナルトラスト
   ■ランド・ケアー(土壌保全)
   ■ストリーム・ウォッチ(水流調査)
Treeplanting
環境を守る植樹運動
© Environment Australia
 
  例えばストリーム・ウォッチは、シドニー水道局が、国全体の水質改善を目的に行っている特別な環境プログラムで、環境問題に関する子供の意識を高め、子供が地元の環境改善に実際に参加する力を身につけられるようにしています。ストリーム・ウォッチに参加しているニューサウスウェールズ州の学校は約250校におよびます。生徒は特別な検査器具を使って、地元の河川の水質を測定し、その水の安全性をチェックします。測定結果はコンピュータでつながれたデータベースに記録され、他の都市や州、他の国で同様の調査をしている他の学校との間で、お互いの調査結果を共有することができます。このような方法でこのプログラムが組まれているのは、生徒が、自分の身近な環境を改善するために地元で活動しながら、地球規模の視点に立って、水質汚染について考えられるようにするためです。
 
  また、リサイクル・プログラムを行っている学校も多く、紙くずのリサイクルをしたり、家庭科の実習で出る野菜くずから堆肥を作ったりする他、校庭にアルミニウムの缶やプラスチック、ガラスのビンを集める特別なビン置き場を設置して、リサイクルに励んでいます。
分別用ごみ箱
分別用ごみ箱
学校によっては、使い古しのアルミニウムの缶を缶製造会社に売り、このリサイクル活動から得た収入を、新しい学校設備の購入資金の一助にしているところもあります。オーストラリアは、アルミニウム缶のリサイクルが世界で最も盛んな国です。
 
  環境問題に関する国民の意識は1992年から1998年の間は低下したものの、依然として多くの人々が強い関心を抱いています。大気や海洋・水質汚染、そして森林や生態系の破壊などは人々の共通の関心事です。さらに消え行く野生生物、有毒化学物質や有害廃棄物の問題、その他の地球環境に与える影響などに関しても関心が高まっています。
 
環境問題に関する国民の意識(年度抜粋)  (単位:%)
  1992年 1994年 1996年 1998年
大気汚染 40.2 34.1 30.9 32.4
海洋汚染 32.3 26.7 23.8 24.1
淡水汚染 29.9 25.5 23.7 26.7
森林/生態系破壊、森林伐採 32.8 25.6 23.6 21.7
ゴミ廃棄 22.9 15.7 14.0 14.7
大気のオゾン層 28.6 17.1 10.9 13.4
野生生物の破壊、種の絶滅 19.3 13.3 9.1 9.6
他の公害問題 14.1 9.1 8.8 4.5
有毒化学物質、有害廃棄物 21.3 11.9 8.6 11.5
核実験、核兵器 14.6 6.7 7.6 7.0
温室効果 17.2 8.8 6.3 10.1
都市開発/人口過剰 12.6 7.8 5.9 8.8
農薬の使用 13.7 7.0 4.2 6.4
ウラン採鉱/使用/放射性物質 8.5 3.6 5.1 5.4
その他 5.8 5.7 5.5 3.9
※出典
「オーストラリア連邦統計局1999年年鑑/385頁」、AGPS, Canberra(版権はオーストラリア連邦に帰属/複製許可を得て使用)
 
  オーストラリアの国民は、海外から入って来る疾病や雑草、ネズミやリスなどの齧歯(げっし)動物による被害には常に神経をとがらせています。農業生産は、縮小しているとは言え、この国の経済に重要な位置を占めています。畜産業に有害な影響を及ぼす雑草、害獣、病気などによって、国の財政が深刻な状態におちいる可能性もあります。オーストラリアを訪れる人々が空港に到着した際、荷物コンベアのある所で、検疫用のビーグル犬に出くわすことがあるかもしれません。この犬は乗客の荷物の中に検疫の対象となるものがないかどうか、匂いをかいで調べているのです。他の国からの害虫や細菌が国内に入り込むのを防ぐには、こうした手立ても必要とされます。
 
  動物が国内に持ち込まれる場合は、この国に有害な病気を持っていないか確認するため、一定期間の検疫が行なわれています。

 
  参考:オーストラリア検疫検査局のホームページ
 
地球の環境保護
  オーストラリアでは環境保護運動が広く行われており、多くのオーストラリア人は、国内の環境保護や天然資源の保全だけでなく、地球全体の環境保護を、国として、また世界全体として負うべき重要な責任と考えています。
 
  オーストラリアは1992年にリオデジャネイロで行われた環境サミットなど、環境問題の国際会議に積極的に参加しており、また、南極海洋生物資源保護会議の本拠地でもあります。1981年以来、オーストラリアと日本の間では、絶滅寸前の野鳥や、両国間を毎年行き来する渡り鳥を保護するための条約が結ばれています。
 
クリーンアップ・オーストラリア・デー
  シドニー出身のヨット乗りイアン・キアナン(Ian Kiernan)さんが、自分の住んでいるシドニー港をきれいにしようと始めたゴミ拾いの運動です。世界中の海をヨットで旅したキアナンさんは、多くの国の美しい海岸がゴミで汚されているのを目にして心を痛めました。シドニーに戻り、まずは地元のシドニー港から美しくしようと考えたキアナンさんの呼びかけにこたえて、1989年にクリーンアップ・シドニーハーバー・デーとしてこの「ゴミを拾う日」という運動が始まり、その年から4万人が参加する大規模なボランティア活動となりました。翌1990年にこの動きはオーストラリア全土に広がり、クリーンアップ・オーストラリア・デーとなりました。
クリーンアップ・オーストラリア・デー
クリーンアップ・オーストラリア・デーに参加する子供 / © Cleanup Australia Day

  最近では、約60万人が毎年3月に行われるこのイベントにボランティアとして参加し、地域の環境改善のためにゴミ拾いを行っています。従来からの一般的なごみ拾い活動に加えて、企業を対象として産業廃棄物問題などに焦点をあてたビジネス・クリーンアップ・デー(Business Clean Up Day)や、学校を対象として教育現場でゴミ問題を考えるフライデー・スクール・クリーンアップ(Friday Schools Clean Up)などの特別キャンペーンも含まれるようになりました。なお、1993年からはユネスコの協力のもと、このアイデアは全世界へ広げられ、多くの国で同様の運動が行われています。
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