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オーストラリアは自然・天然資源に恵まれた国です。豊かな大地、豊富な鉱物資源、四方を囲む澄んだ海、そして温帯から亜熱帯までの気候帯の広がりは実に様々な収穫物をもたらしています。
ただし、国土のほぼ3分の1を砂漠で占められていることもあって、大陸のすべてを居住や農耕に利用できるわけではありません。それでもオーストラリアは長い間、羊毛や小麦、牛肉などを中心に世界中の国々へ多くの第一次産品を供給してきました。 |
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牧羊農業 / © Commonwealth of Australia and third parties |
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炭鉱の様子 / ©CSIRO |
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農業や鉱業はこの国の富の形成に大きな役割を果たしています。特に輸出の面で大きく貢献しています。2002年、商品輸出全体に占める鉱産物の割合は約3分の1、農産物の割合は約4分の1を占めます。オーストラリアは羊毛の生産国としては世界最大規模です。また鉱産物のうち世界でも首位を争う産出量をもつものに、金、ボーキサイト、オパール、鉛、鉄鉱石、タングステン、亜鉛などがあります。 |
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また、石炭、銅、ニッケルの主要産出国でもあります。しかし、これらの産業の特徴については、大規模経営と高度に機械化された生産のため、農業と工業に従事する労働者の割合は比較的少ない点が挙げられます。
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オーストラリアの内陸部は、高温と乾燥した気候のため穀物の栽培はできませんが、羊や牛の放牧には適しています。この地域の農場は、大規模で通常は町からずっと離れた場所にあります。
例えば、ニューサウスウェールズ州西部で牧羊業をいとなんでいる家族の農場の広さは250k・もあります。農場には7000頭の羊と数頭の肉牛が飼われていますが、1k・あたりの羊の数はたった28頭です。
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牧羊農家の作業カレンダー / 羊の飼育 |
1月 |
メス羊とオス羊のかけ合わせ |
2月 |
羊毛刈り取り作業の準備 劣等な羊をより分けて売却 |
3月 |
羊毛刈り取り 体内寄生虫除去剤を若い羊に飲ませる 体外寄生虫(ノミなど)除去のための薬剤をかける |
4-5月 |
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6-7月 |
1月のかけ合わせからの子羊が生まれる(冬子羊) |
8月 |
冬子羊にしるしをつけ、ハエ予防のため尾とそのまわりの毛と皮膚を切り取る |
9月 |
ハエ予防のため若い羊の顔と股から毛を刈り取る |
10月 |
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11月 |
ハエ予防のため残りの羊の顔と股から毛を刈り取る |
12月 |
羊の飲み水が十分にあるかどうかをチェック 柵の修理、自動車修理など |
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降水量の多いオーストラリアの温暖地帯では、牧羊だけでなく、牛の飼育や、穀物の栽培もあわせて行う農家がたくさんあります。
温暖地帯の農場は内陸の乾燥地帯にある農場と比べると一般的に小規模ですが、降水量が多いため、一定面積あたりでより多くの羊を飼育することができます。温暖地帯の農場では、普通、1k・あたり約750頭の羊を飼っています
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牧羊農家の作業カレンダー / 羊の飼育 |
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羊の飼育 |
小麦の栽培 |
1 月 |
メス羊とオス羊のかけ合わせ ハエ予防スプレー |
雨のあと、小麦畑にする牧草地をすく |
2 月 |
体内寄生虫除去剤を飲ませる |
石灰を土地に加え、同時に土地をほり返して除草 |
3 月 |
前年10月のかけ合わせからの子羊が生まれる(秋子羊) ハエ予防のため顔と股から毛を刈り取る |
土地をさらにほり返して石灰をよく混ぜ、同時に除草 |
4 月 |
体内寄生虫除去剤を若い羊に飲ませる 体外寄生虫(ノミなど)除去のための薬剤をかける体内 |
種まきにむけて畑を耕す |
5 月 |
秋子羊にしるしをつけ、ハエ予防のため尾とそのまわりの毛と皮膚を切り取る病気予防注射をうつ |
種まき |
6 月 |
1月のかけ合わせからの子羊が生まれる(冬子羊) |
必要に応じて除草剤散布 |
7 月 |
体内寄生虫除去剤を秋子羊に飲ませる親羊から秋子羊をはなす |
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8 月 |
羊毛の質とサイズによって羊を分ける劣等な羊をより分けて売却 秋子羊にしるしをつけ、ハエ予防のため尾とそのまわりの毛と皮膚を切り取る |
必要に応じて、成長促進のためチッソ肥料を加える |
9 月 |
子羊以外の羊毛刈り取り体外寄生虫(ノミなど)除去のための薬剤をかける |
必要に応じて、除草剤散布 |
10 月 |
体内寄生虫除去剤を子羊に飲ませる 親羊から冬子羊をはなす メス羊とオス羊のかけ合わせ |
次の2年間小麦栽培に使う牧草地をほり返す |
11 月 |
子羊の羊毛の刈り取り |
小麦のたんぱく質含有量を増やすためチッソ肥料を加える |
12 月 |
体内寄生虫除去剤を飲ませる |
収穫、脱穀、牧草地をすく |
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