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8.白豪主義政策
  19世紀の初頭まではオーストラリアへの入国に関して人種による規制は設けられていませんでした。しかし、中国から数多くの金採掘業者が入ってくるのに従って、非ヨーロッパ系移民に対する反発が強まりました。このことが1901年に発足した新連邦議会による初の制定法のひとつにつながりました。これは1901年移民制限法とよばれ、「白豪主義政策」として20世紀の後半まで続きました。
 
  この政策によってアジア、アフリカ、およびトレス海峡諸島民がオーストラリアへの移民対象から除外されることになりました。政府は公然と人種差別政策が行われている事実を隠蔽(いんぺい)するため、移民資格試験を設けました。これは移民審査官が移民申請者のヨーロッパ言語理解能力を試すもので、事実上形式だけの検査でした。聞き取り試験の際、審査官が申請者を受け入れないと判断すれば、その場で申請者が話すことが出来ないと思われる言語を選んで質問しました。場合によってはゲール語(アイルランド等で用いられたケルト諸派諸語の1つ)やトランシルバニア語など非常にまれな言語が使用されることもありました。
 
  一方、既にオーストラリアにいたイギリス系以外の国民は、自分の出身地にかかわらず、イギリス系中心の社会とその文化に同化することが求められました。つまり、英語を話し、優位を占めていたアングロサクソン系オーストラリア人の社会的習慣に従うことが求められました。また当時のアボリジニには、多くの基本的権利が認められていませんでした。
 
  しかし、その後の政府は、経済上の必要性から移民政策の制限を徐々にゆるめざるを得なくなりました。特に第2次世界大戦後の経済復興と、急速な経済発展の時期には、人口の少ないオーストラリアでは、海外からの労働力を必要としました。そこで未熟練労働者を移民として積極的に受け入れ始めたのです。この多くは南ヨーロッパからの移民で、彼らはスノーウィマウンテンの大規模なダムや水力発電所の建設のために働きました(この水力発電所は、当時急速に発達していたオーストラリアの産業に電気を供給するために建設されたものです)。
 
  その後、経済、文化面でのアジアとの結び付きが徐々に強まるにつれ、白豪主義は国民の間からも、また政府内でも、オーストラリアの民主社会における平等主義の原理に反すると考えられるようになりました。白豪主義が公式に撤廃されたのは1972年でしたが、白豪主義は1950年代と1960年代を通して、次第にその影響が弱まっていきました。第2次世界大戦の直後では、受け入れ移民のほぼ4分の3がイギリス、アイルランドの出身でしたが、1960年代半ばまでにはこの割合が40%まで減少し、そのかわりにその他のヨーロッパからの移民(主に南ヨーロッパ)が同じくらいの割合を占めるようになりました。
 
  1970年代以降は、アジア人のオーストラリアへの移住が急激に増加しました。また、オーストラリアはベトナム戦争後、多数のインドシナ難民を受け入れました。
 
  現代のオーストラリアでは、移民の受け入れが推奨され、人種、性別、肌の色、年齢にかかわらず、全ての国民に平等な権利が法律で保障されています。言論の自由や文化、宗教の自由といった人権の保障に加え、国民は地域社会におけるサービスや手当などを平等に受ける権利と、雇用機会の平等が保障されています。議会政治や法律制度と英語が、多様な民族で成り立つオーストラリア社会をまとめています。
 
期間別(5か年抽出)移民出生主要6か国と総移民数に占める割合
1970年6月30日までの5年間
  単位:千人 単位:%
イギリス及びアイルランド 371.5 46.2
ユーゴスラビア 73.7 9.2
イタリア 61.9 7.7
ギリシャ 53.1 6.6
ニュージーランド 22.8 2.8
ドイツ 19.0 2.4
その他 202.1 25.1
総移民 804.1 100.0
 
期間別(5か年抽出)移民出生主要6か国と総移民数に占める割合
1980年6月30日までの5年間
  単位:千人 単位:%
イギリス 86.2 25.0
ニュージーランド 39.8 11.6
ベトナム 30.6 8.9
レバノン 18.4 5.3
南アフリカ 10.2 3.0
マレーシア 8.4 2.4
その他 151.1 43.8
総移民 344.7 100.0
 
期間別(5か年抽出)移民出生主要6か国と総移民数に占める割合
1990年6月30日までの5年間
  単位:千人 単位:%
イギリス 107.0 17.4
ニュージーランド 82.5 13.4
ベトナム 38.9 6.3
フィリピン 36.3 5.9
香港 27.5 4.5
マレーシア 26.6 4.3
その他 297.3 48.2
総移民 616.1 100.0
 
期間別(5か年抽出)移民出生主要6か国と総移民数に占める割合
2000年6月30日までの5年間
  単位:千人 単位:%
ニュージーランド 80.6 18.4
イギリス 48.1 11.0
中国(香港や台湾を除く) 36.3 8.3
前ユーゴスラビア連邦共和国 28.3 6.5
南アフリカ 21.4 4.9
インド 16.4 3.7
その他 207.5 47.2
総移民 438.6 100.0
※出典
オーストラリア連邦統計局資料「オーストラリア2003年年鑑/130頁」、AGPS, Canberra
(Year Book 2003 [p.130])
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 2. 地形
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 7. 連邦成立
 8. 白豪主義政策
 9. 多民族・多文化国家
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